演題1:微量核酸からのNGSによる微生物ゲノム解析
演者:伊知地 稔(株式会社キアゲン Sales Specialist, Genomics)
内容:ウイルスや細菌など、微生物をNGSで解析する際、分離培養を経ずに試料から直接精製した核酸よりPCR増幅したり、分離培養後に微量な核酸より全ゲノムを増幅したりし、NGSのライブラリー調製が可能となる。この分析の流れは、ウイルスを分離培養し大量に増殖させる必要が無いので、SARS-CoV-2のゲノム解析にも利用されている。
キアゲンは、QIAseq FX DNA Library kit (GCバイアスを最小限にした酵素法による全ゲノムシークエンス解析に最適なライブラリー調製試薬)に加えて、全ゲノム核酸増幅に定評のあるREPLI-gシリーズを提供している。これらの製品を組み合わせた事例と共に、微量核酸からのNGSによる微生物ゲノム解析の方法論について紹介する。
演題2:QIAGEN CLC 製品の簡便で迅速な微生物ゲノム解析ソリューションのご紹介 1
演者:斎藤 賢治(株式会社キアゲン QDI)
内容:ヒトの腸内には1億種類、100兆個の腸内細菌が存在していることが知られている。近年の研究から、これらの細菌の集団(腸内フローラ)がヒトの健康、疾患に深く関係があることがわかってきた。NGS技術の進展に伴い、腸内細菌の解析は急速に進歩した。CLC Microbial Genomics Module では、保存性の高い16S rRNAの配列解析、全ゲノムの網羅的解析、シークエンスタイピング(NGS-MLST)法と3つの方法がある。本ウェビナーでは、最もよく行われている16S rRNA解析を紹介する。
演題1:包括的な微生物ゲノム解析における正確かつ簡便なライブラリー調製の重要性
演者:中村 翔太(株式会社キアゲン Sales Specialist, Genomics)
内容:近年、おもにヒトマイクロバイオーム療法の開発に対する期待から腸内細菌叢の解析が進んでいる。加えて都市型メタゲノム解析のような広範囲における薬剤耐性菌の検出を含めた微生物のモニタリングが重要となっている。海外ではThe Metagenomics and Metadesign of the Subways and Urban Biomes国際コンソーシアム(MetaSUB)をはじめとした大規模なプロジェクトが立ち上がっている。このような包括的な微生物ゲノム解析には、多検体処理が必要となる。簡便かつ正確なNGSライブラリー調製が重要であることから、QIAseq FX DNA Library Kitが用いられている。本ウェビナーではこれらの活用事例を紹介する。
演題2:QIAGEN CLC 製品の簡便で迅速な微生物ゲノム解析ソリューションのご紹介 2
演者:宮嶋 伸行(株式会社キアゲン QDI)
内容:前回に引き続き、サンプルのタイピングの様々な方法、薬剤耐性遺伝子の解析、大規模なMLST解析等を紹介する。必要なPCのスペックについても説明する。薬剤耐性の解析にはQIAGENで作成した最大規模の非重複データベースが活用されている。
自分で選択した菌種類における大規模MLST解析では、既存のMLSTデータベースを用いるか、ほぼ全てのコード遺伝子をマーカーに用いるかが選択できる。
演題:微生物のシングルセルゲノム解析を実現するツールたち
演者:細川 正⼈ 准教授 早稲田大学 大学院先進理工学研究科 / bitBiome株式会社 CSO
内容:
微生物のシングルセルゲノム解析は、多様な微生物を含むサンプルから個別のゲノム情報を獲得し、単離培養が困難な微生物の機能・役割の理解や新規有用遺伝子の獲得を手助けする。
近年、「シングルセル解析」を掲げた論文・技術が爆発的に増加しており、様々な「シングルセル解析」が生命科学研究に取り入れられるようになった。しかし、現行の「シングルセル解析」の多くはヒト・マウスなどの哺乳類細胞を対象としたものであり、その解析法を微生物にそのまま転用できることはほぼない。この理由には、微生物自体が形状・膜構造など多様な性質を持つこと、分析対象である生体分子が極めて少ないことなどが挙げられ、「微生物ならではの解析の難しさを克服したシングルセル解析」が必要である。
演者らはこれまで、微生物、特に細菌のシングルセルゲノム解析を実現するために、マイクロ流体技術やバイオインフォマティクスツールを開発し、高精度かつ網羅的に未培養微生物の全ゲノムを解読するためのツールを開発してきた。また、現在は、研究成果活用ベンチャーbitBiome社を通じてこれらのツールを様々な研究に提供し、多様な解析へ展開している。
本発表では、これらツールたちを使うことで、今何ができるのか、微生物シングルセル解析で何がわかるのかを紹介する 。
QIAseq Library kitsを使用した微生物ゲノム解析に関する論文集を作成しました。新型コロナウイルス全ゲノム解析、薬剤耐性菌の検出、インフルエンザウイルスまたは都市型のメタゲノム解析への活用方法など、最新の活用事例をリストにしました。是非、ダウンロードの上、ご参照頂ければ幸いです。