感染症研究の最前線として、臨床の現場では、迅速かつ正確な原因菌の同定や薬剤耐性検出を実施するために、常に新たな技術が求められます。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、新興感染症の封じ込めにおける分子疫学調査の重要性が再認識されました。今後は、患者さんへのより適切な治療を行うための感染症検査や、たゆまない日常の中で継続的に行う必要のあるサーベイランスにおいて病原体ゲノムを解読することの重要性が増えてくることが予想されます。
2022年11月15日に開催されました、本シンポジウムでは、次世代DNAシークエンサー(NGS)やdPCRに注目して、国内研究者の先生方をお招きし、感染症研究における先端的な試みについてご講演頂きました。
① | 本日のプログラムのご説明 および 感染症研究におけるNGSパネルのご提案 |
嶋多 涼子(株式会社キアゲン Marketing and Market Development Manager, Genomics) |
② | Precise and complete workflows for antimicrobial resistance (AMR) detection and analysis | Dominic O'Neil (Director, Microbiome Product Development, QIAGEN) Dylan Barbera (Global Product Manager, Genomics and UNGS Genotyping, QIAGEN) |
③ | QIAGEN CLC Genomics Workbenchの微生物解析パイプライン コロナゲノム解析から薬剤耐性解析まで |
古谷 昭博(株式会社キアゲン Sales Application Specialist・QDI Sales) |
④ | 臨床微生物学における超並列シーケンサーによる 網羅的遺伝子解析の方向性と標準化に向けた取り組み |
石井 良和 教授(東邦大学医学部微生物・感染症学講座) |
⑤ | QIAGENデジタルPCRを用いた感染症微生物の定量 | 中條 智洋(株式会社キアゲン Application Specialist・Field Application LS) |
⑥ | QIAGENの新しい核酸精製機とデジタルPCR装置 | 髙名 瑞(株式会社キアゲン Application Specialist・Field Application LS) |
⑦ | ウィズコロナ時代における下水疫学調査の活用に向けた 病原微生物検出技術の開発 |
原本 英司 教授(山梨大学大学院総合研究部附属 国際流域環境研究センター) |
SARS -CoV-2に対する検査法の一つとして、遺伝子検査が取り入れられた。しかし、それまでPCRを含む遺伝子検査法は微生物検査において積極的に取り入れられて来なかった。一方、食品分野では食中毒病原体の検出などに利用されている超並列シーケンサーを微生物検査領域でも応用しようという取り組みがなされている。ただ、この方法にはバイオインフォマティクスの知識が必要なことからルチン検査への応用にもう少し時間を要すると思われていた。しかし、QIAseq x HYBシリーズとCLC Genomic Workbenchを併用することでルチン検査の一環として超並列シーケンサーを利用できる可能性がでてきた。今回は、微生物検査の今後の方向性と標準化に向けた取り組みを含めて紹介する。
講演者が国内外の研究者と共に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する「下水疫学調査」の有用性を世界で初めて提唱した2020年4月以降,国内各地から下水中の新型コロナウイルスRNAの検出報告が続々となされているが,下水中のウイルスRNA濃度が低いために定量には至らない事例も多く,社会実装に向けた課題となっている。本講演では,下水中の新型コロナウイルスRNAの高感度逆転写定量PCRキットの開発をはじめ,デジタルPCRやハイスループット定量PCRを用いた新型コロナウイルスおよび他の病原微生物の検出技術の開発,それらの適用による国内外での調査事例等,ウィズコロナ時代における下水疫学調査の社会実装に向けて講演者がこれまでに取り組んできた研究成果を紹介する。
Antimicrobial resistance (AMR) detection and surveillance is a high priority in healthcare and environmental settings for the safety of both patients and the general public. However, working with samples used for this type of monitoring, such as stool or wastewater, can be challenging, from sample preparation, through detection (dPCR and sequencing) to bioinformatic analysis.
Join us for this 45-minute talk, where we’ll cover difficult biological samples, including stool, wastewater and others. We'll demonstrate the workflows and characteristics for each, together with the answers and insights you can expect. There will also be a Q&A session, giving you a chance to discuss your use cases, in person, with our experts.
Key points: